ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

呼ぶ声(ss)



飛段が言う。ほら窓の外、あそこでずっと同じ鳥が鳴いてやがる、ジェッ、ジェッって鳴くたびに尻尾(飛段は尾羽のことをそう呼んだ)が下がるだろ、よっぽど体中で力いっぱい鳴いてるんだぜあいつ。お前もな、と角都は考えるが、黙ったまま行為を続ける。しばらく後、また飛段が言う。ああ、なんだか今日はやけによく鳴きやがるよな鳥の奴ら。お前もな、と角都は考えるが、やはり口にはせずに行為を続ける。いったん口を開いたら何か別の言葉まであふれだしそうだったので。