ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

誘蛾灯(ss)

さくま様リク5「誘蛾灯」です。タイトルそのまんまです。内容も、バチバチ音立てて死んでこそいませんが、ええ、そのまんまです(恥)。



夕暮れの竹林で、自分のコートの上に仰向けになった飛段が、虫がうるさい、背中が痛いと文句を言う。確かに俺よりも相棒の方に虫がたかっているが、これは肌の露出度に起因するもので、俺としては手の打ちようがない。背の痛みの方はこちらにも非があるので、俺はいったん相棒に覆いかぶさってしっかりと抱きこんでからもろともに半身を起こし、対面に持ち込んだ。飛段は体位の変化を嫌がってじたばたしたが、背を抱く腕にきつく力をこめると、うー、と情けない声を上げ、抗うのをやめた。このまま相手を無茶苦茶に扱って満足したいというどす黒い欲を俺はどうにか抑え込む。緩めた腕の中の相棒は、たった今凌辱の危機を回避したことも知らずに俺の肩にもたれかかり、身の奥まで侵入するものに慣れようと浅く息をついている。その首筋や肩のまわりを飛ぶ虫を吹き飛ばそうと俺はマスクを取るが、虫よりも別のものに気を取られてしまう。さやさやと葉の鳴る竹に囲まれた薄闇で、ほの白い肌に吸いつく俺は虫と喜びを分かち合う。これはいいものだ、と虫が言う。俺も同意見だ。まったく同意見だ。