ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

いやだ(ss)



飛段が目を眇めて俺を見ている。空腹になると不機嫌になるガキと同じく、何かが満たされないと奴はあのような顔をするのだが、もしかすると単に珍しがっているのかもしれない。俺は風が通るようになった頭を振り、快適さに頬をゆるめる。飛段、お前も試してみるか。声をかけてやると痙攣するようにかぶりをふる。流行やらなんやら下らないことに気を取られているのだろう。流行から外れていることを考えたらオールバックも似たようなものだろうに。「男ならアイパー」と書かれている看板とそこに映る自分の姿を俺は眺める。満足だ。もう一度飛段を見て看板を指差してみるが、また痙攣するばかりで、早く頭巾をかぶれなどと言う。ふん、お前のような若造にこの男らしさは刺激が強すぎるのだろう、軟弱者め。