ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

大事なポイント(ss)



相棒はホントはジジイなんだってことをオレはよく忘れちまうんだけど、ときどきそれを見せつけられてあーあってなることがある。例えば、腹のことだ。奴は腹を冷やすのは良くないと言い、どんなに暑い夜でも腹に何か掛けようとする。野宿のときはオレだって服を着てるけど(そうでないときもあるけど、そんなときは角都と重なってるから奴を着ていると言っていい)、宿ではマッパで寝たいときもある。なのにジジイの相棒はそれを許さず、そんなことでオレたちは簡単にケンカをするのだった。今日、宿に残されたオレは気持ちよくごろごろしていたが、そのまま寝てしまおうとしてちょっと考えた。帰りは遅くなると角都は言い残していった。ということは、ハダカで寝ていると深夜に叩き起こされてケンカしなきゃならなくなるかもしれない。けど服は洗って濡れてるし、宿の湿った布団を腹にのせるのもいやだ。考えた末にオレは宿のペラい浴衣を着こんで帯を締め、寝転がってからそれをはだけてほとんど脱ぐことにした。前で蝶結びにした帯で腹は多少隠れているし、これなら角都も文句はないだろう。そんなこんなでぐーすか寝ていたオレだったが、結局夜中に起こされて、暑い中でまた汗をかくハメになった。こうなると角都が何を考えているのかオレにはよくわからない。奴がホントにジジイなのかどうかも。全部終わってからオレの腹を自分の手で覆って寝ていたから、やっぱり腹には何か掛けるべきだって思ってるのは間違いないんだろうけどな。