ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

プライド(ss)



一足先に辿りついた高台に腰をおろして休んでいると、やっと追いついてきた相棒が、てめーのバイトのせいで足が棒だぜ、寄り道ばっかりしやがるからマジくたびれんだよ、と文句を言う。俺は無視する。実は俺も疲労がたまっており、足だけではなく体の内部がシクシクと痛むありさまだが、ガキじゃあるまいしそんな弱音を吐くつもりは毛頭ない。あーあーまったく元気なジジイだぜ、とぶつくさこぼしながら相棒は俺の足元に座り込むが、すぐに、オイオイてめーマジでどんだけ元気なんだよ、と脱力したように笑い出す。奴が見ているのは俺の股間だ。俗に疲れマラというあれだが、説明するのも億劫だ。ヒョオ、と音を立てて吹き上げてくる風が俺の鼻先で相棒の髪をひらめかす。オメーがその気ならしょーがねーな、ちょっと休憩してくか、角都よ。俺は相変わらず黙っている。高山の薄い空気の中でのご休憩は正直キツいが、臨戦態勢の相手の前で負けを認めるのは自尊心が許さなかったのである。