ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

意地汚い男(ss)



焼いた肉をかじりながら飛段が船を漕ぎ始める。眠いなら寝てしまえばいいのに肉は食いたいらしい。意地の汚さに呆れながら角都は自分の肉を食べ終わり、傾いでは元に戻る相棒を眺めていたが、試しに肩を引き寄せてみるとあっけなく膝の上に倒れてきたのでそのまま寝かせることにした。服を汚されないよう肉を取り上げるが、特に何も言わないところを見ると本格的に眠ってしまったのだろう。相棒のかじりかけの肉を自分の胃に収めた角都は、代わりに脂で汚れた親指と人差し指を相手の口に入れてやった。眠った舌が、それでもゆっくりと指をねぶる。舌をつまんでやっても飛段は目を覚まさず、それどころか柔らかい唇で指を挟んでかすかに残る肉汁を吸おうとする。まったく食い意地が張っている奴だと苦笑しつつ指を抜こうとしない角都は、相棒の舌を楽しむ自分の意地汚さには思いが至らないのだった。