ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

オンリー(ss)



単独の任務でアジトを離れて半月経った。仕事はうまく片付きつつあり、余裕ができた俺は久しぶりに夜の街で女を買おうと考えた。そのつもりで酒を飲みに行くと女が寄ってきたので、俺はじっくりと品定めをし、その中の一人を選んだ。おろしたら美点になりそうな茶色の巻き毛を無造作に括っている賢そうな目をした女で、背が高く、しっかりした体をしている。短い言葉を交わし、いざ誘おうとしたとき、女の頬の線に相棒の面影を見た俺は一気に醒めてしまった。まったく異なるものを選んだつもりだったが失敗だ。背が高いのも良くなかったのだろう、もっと小柄でぽっちゃりした女がいい。ところが次の女もあらわな額と愚かそうな語彙に飛段を宿しており、俺を萎えさせた。どうもいけない。今日は何もかもが相棒に結びついてしまう。慰めを買うことを諦めた俺は、宿に戻って悶々としながら自分を納得させようとした。女など買ってもリスクがあるだけだ、病気をうつされるかもしれないし金もかかる、男と違って本当に感じているかどうかわかったものではないし…。そこまで考えて俺はぞっとする。相手側の快感など以前の俺なら気にしなかった。俺としたことが、いつの間にこんな腑抜けになってしまったのだろう。こんなことではこれから女を抱けそうにないし、アレ以外の男など最初から抱く気はない、つまり俺は生涯アレとしか関係できないではないか。