ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

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ぱりっと焼かれた秋刀魚を食い散らかす飛段を角都は放っておくことができない。俺たちに食われるために死んだ魚だぞ、感謝してきれいに食べろ。小言を言いつつ飛段の秋刀魚の胸びれを取って上身を取りよけ、背びれと骨を外してやる。うっせーなー腹に入りゃ何だって同じじゃねーか、と飛段は返しながらも角都の箸で魚が解体されるのをじっと待つ。飛段からすれば角都が万事に優れているのは当然のことなのだ。だってオレにはハンデがあるもんな、と飛段は考える。角都は飛段の四倍以上生きているんだから何でもできて当たり前だろう。やがてほろりと剥がれる魚の身を頬張った飛段はニッと笑って、んめえ、と感想を述べる。角都は自分の秋刀魚に集中しているふりをする。これ以上アドバンテージを取られてはかなわないからである。



※お題「ハンデ」