ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

とことん(ss)



飛段はわがままだと角都は思う。道のりが遠いとオイオイまだつかねーのかよーと騒ぎ、野宿が続くとたまにゃ雨風のあたらない所で休みてーぜと文句を言う。他にも暑いだの寒いだの腹が減っただの戦う相手が弱すぎるだのと言ってもしょうがないことを述べ立てる。そんなとき角都は原則として、うるさい黙れ飛段、と相手を叱り要望を無視する。原則として、と前置かなくてはならないのは、角都にとって不本意なことに例外があるからである。まったく陳腐なことだが、ことのあとの飛段が薄眼を開いて喉が渇いたと言えば角都はすぐさま水を汲みに行ってしまうし、くしゃみなどしようものなら毛布やコートを相棒に掛けてしまうのである。水も毛布もないなら自分の唾液や体でどうにか間に合わせる。相手が満身創痍のときには仕方なかろう、と角都は自分を説得する。もげた首を縫いつけてやるようなものだ。相手がどこまでもわがままだから、こちらの奉仕の幅が広くなるまでのことで。



※さくま様からのリク「期間限定」