ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ハッピーエンド(ss)

※かつての角都の相棒視点です。



今までおれはついていた、力も才能もそこそこあったが運が良かった、過去形で話さなければならないのは辛い、だがもはやおれの時は尽きた、数分前のおれは数分後に命が終わることを知らずにいたが、おれが殺してきた他の者と同様におれの命もいきなり立ち消える、もう時間がない、おれの体は死にながら生きようとしているが、尻切れトンボの人生の切り口はすでに風にさらされている、おれは呼吸する、一回、二回、二回目の息を吐いているときに相棒がおれの臓器を外に引きずり出す、突然最後になってしまった息を吐き終える間に、角都、とおれは呼ぶ、口も舌ももう死んでいて動かない、言葉になることがなかったおれの思いは心臓に宿り恋い焦がれた相棒に取り込まれていく、すさまじい勢いで巻き取られる糸のように最後の信号が脳神経を叩きながら電光の速さで走り抜ける、ああ、とおれは感嘆する、すべてを脱ぎ捨てた意識にうつる空の、なんと青いことか。