ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

飽食(ss)

こあん様からのリク「鼻唄」による小話です。こあん様、いつもおいしいリクをありがとうございます!




角都が辛そうだ。海沿いの宿で夕食に出されたアンコウ鍋は確かにうまかった。どぶ汁なんて変な名前だったけど、肉派のオレもうまいと思ったんだから相当である。けれどもいくらうまいと言っても食える量には限りがある。でっかい鉄鍋になみなみ入ったそれをオレたちはつついていたのだが、お客さんよく食うねえ、なんておだてられた角都は調子に乗って食い続け、そら恐ろしいほどの量を胃に収めた。あんなに食ったら気持ち悪くなるに決まっている。部屋に戻って早々に床に伏せてしまった相棒にオレは助言する。おい角都、腹が苦しいんならゲロ吐いてきた方がいいぜ。オレのまっとうな意見に角都は、苦しくない、と返すが、その声がものすごく苦しそうでオレは笑ってしまう。苦しくねぇんならなんでさっきから唸ってるんだァ?唸ってない。唸ってるぜェウーウーウーウー地鳴りみてぇに。唸ってないと言ってるだろう、と角都は頑張る。俺は鼻唄をうたっているだけだ、邪魔をするな。意地っ張りもここまでくれば立派だが、オレはそんな相棒をもっといじめたくてウズウズしてしまう。鼻唄が出るほどご機嫌とは知らなかったぜ。言いながらオレは荷のように横たわる相棒に近づき、立ったまま相手の服を剥ぎ始める。やめろ、と角都が抵抗するが弱々しくて話にならない。よほど苦しいらしい。オレはすっかり楽しくなってしまい、自分も服を脱ぎ捨てると無理やり仰向けにした相棒の腹の上にまたがった。おめーが平気でもオレぁちょっと食い過ぎた、腹ごなしに運動するからつきあえよ、いいだろ角都ゥ。くたりとしている部分を片手でいじり、もう片手で鳩尾を押してやると角都が派手に唸る、いや、鼻唄をうたう。オレは舌なめずりをする。豪華な据膳に楽師までつくとはなんと贅沢な夕食だろう。