ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ハイヒールだけはまっぴらごめん・コス野郎4(ss)

こあん様からのリク「着せ替え人形」による小話です。いろいろ無理のあるダメ話ですが「ダメ話カモン!」のお嬢様はどうぞ。こあん様、いつもありがとうございます。
ちなみに飛段の服はこんなイメージで。




スポンサーからの依頼で芸人を殺した。そいつが別の会社に乗り換えたのが気に入らなかったそうだ。そんなことで殺すような会社だから芸人にも愛想を尽かされるんだろうが、角都が上機嫌なところをみると支払いは良かったらしい。忍び崩れの芸人は女みたいな見かけによらずなかなか手ごわかったが、結局は角都に縊り殺され、オレが始末した用心棒の死骸と一緒に裸に剥かれてゼツに食われた。自分たちの手際に満足するオレの前で相棒は服を脱ぎ、元用心棒のスーツを着込んだ。胸に刺された穴があいているけど布が黒いから血はあまり目立たない。だから絞殺しろと言っただろうバカが、とブツブツ文句を言う相棒にオレは見惚れる。元用心棒のヤローが着ていたときは、ケッ男のくせに気取りやがって、ぐらいしか思わなかった服なのに、角都が身につけるとむちゃくちゃカッコいいのだ。なんだよその胸の厚さはよォ!ケツなんかキュッとしててむしゃぶりつきてぇじゃねーか、コラ!心の中でわめきながらガン見するオレに相棒は怪訝な顔を向け、貴様もさっさと支度しろとせかしてくる。しょうがないからオレも元芸人のヅラと服を身につける。角都のと違ってホントにへんてこな服だ。やたらぴったりしていてキツキツなくせに尻とか股には大穴があいていて頼りなく、着ているだけで気持ち悪いが、楽屋にこれしかないんだからしょうがない。ステージ衣装だったんだろうけど、こんな妙なもん着やがって角都が殺してなかったらオレがあいつを殺してやるところだ。小さな竹馬みたいなハイヒールを履いてよろよろ立ち上がるオレを角都がじっと睨んでいる。しゃーねーだろ、こんな靴履いたことねーんだからよ、と言うとハッと目が覚めたような顔をして腕をさしのばしてくるが、それにつかまってちょっと歩いただけで足が攣りそうになる。こんなのぜってー無理だぜとぶーたれるオレを角都は引き寄せ、なぜか長いキスをしてくれたあと、自分の、じゃない、元用心棒のコートをオレの肩に着せかけてきた。ここを出るまで辛抱しろ、あいつらが自分たちで出て行ったように見せかけなければならないのにお前が歩けないのでは話にならん、後で埋め合わせはする、いいな。あいつの声で、しかも耳元で変にゆっくりとそんなことを言われたら誰だってウッシャー!って気になるだろ。オレはがんばった。守衛の前で派手にこけたけど、折れた足首で敷地の外までちゃんと歩いた。その夜の角都の埋め合わせがなかなか激しくたっぷりしていたところを見ると、奴もオレのがんばりに感動したんだろう。自分で自分を縛るような妙ちきりんな服もあれの最中には具合がいいってこともわかったし、気が進まなかったわりには儲けの多い仕事だったかもしれない。角都がせがむんならあの服をまた着てやってもいい。ハイヒールは別だけどな。