ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

春(ss)

さくま様からのリク「浮気うぐいす、梅を焦らして 桃で鳴く」による小話です。さくま様、風情あるリクをありがとうございました^^




相棒がコートの襟を乱暴にくつろげ、片手を突っ込んでぼりぼりと乳首を掻き始めた。コートの襟がときおり俺の視線をさえぎるが、少し首を伸ばせば無造作に掻きむしられている乳首がすぐ俺の目の下に見える。ゆだったエビのような色をして硬そうに尖っている。しょっぱそうだな、と考えた俺は相棒の肩をつかんでこちらに向き直らせ、味を見てみた。はたしてうっすらと塩の味がする。おい、おい、と相棒が頭上で俺を呼ぶ。チューすんのはいいけどよ、ふつー口にしねえ?そうだな、と、俺は曲げていた背を伸ばして心持ち突き出された相棒の唇に顔を寄せるが、色薄く平らに貼りついているもう片方の乳首が見えるとついそちらに心を移してしまう。塩味は似たようなものだが舌触りはまったく違う。ふむ、と俺は最初のものを再び味見し、桃色が濃くなってきた次のものもくりかえし試してみる。なあおい口にしろっつってんだろー、とうるさく相棒が文句を言うが、俺は聞き流して味見の範囲を広げていく。いいものは後に出ると相場が決まっている。だがこの前座は悪くない。真打ちよりは劣るとしても。