ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

気づいたときにはどっぷりだ(ss)

こあん様からのリク「つり銭」仕切り直しの小話です。こあん様、いつも楽しい素材をありがとうございます!




つり銭が足りない、と飛段が言う。確かにここに入れたのによォ、どこいっちまったんだろう。パタパタとコートの隠しを叩き、ズボンを探る相棒を見ている角都はもどかしくてしょうがない。酒なぞ自分で買いに行けば良かった、そうすれば今ごろは相棒を下からも上からも舐めて吸って遊ぶことができたのに。渡した金額からしてつり銭は数十両だろう、貨幣はとかく転がりやすい、隠しに入れる際にでも落ちたのかもしれない。いいから来い、と待ちきれなくなった角都は唸る。いつもなら、そーかァ、と軽く問題を流す飛段が今日に限ってつり銭にこだわるのは、他でもない角都がつり銭をなくすなよと念を押して使いに出したからである。眉が下がった情けない顔を放っておくわけにもいかず、角都はしぶしぶ布団から立ち上がり、相棒のコートの袖を探り裾を揉んだ末、魔法のように不足分きっかりの小銭を手の中に振り出す。おほー、と色気なく喜んだ飛段は相棒の顔を両手で挟んでムッチュと音を立ててキスをする。ちきしょーテメー最高だな角都。角都は少し不機嫌だ。小銭程度で騒ぐ相棒も嫌だし、そんな相棒に振り回される自分もまったく認められない。バカ丸出しの笑顔にまで欲情してしまう己の体は言うに及ばず。