ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

酔っ払い(ss)



酔っ払いが店を出て行きがけに頭を撫でていったと飛段が立腹している。あの野郎、ひとを犬か何かみてぇにワシワシ撫でやがって。レジそばのカウンター席に座る飛段の頭は、確かにちょっと撫でてみたくなる場所にあった。ともあれその間便所に立っていた角都としては、もういなくなった酔っ払いに注意をするわけにもいかず、少し乱れている相棒の後頭部を撫でつけてやるにとどめる。そんなんじゃ足らねえよ、と飛段が怒る。もっとちゃんと撫でろよテメー。初め把手のように頭を突き出していた飛段は、角都の手の下に入るべく椅子を引きずって移動し、相棒の手をつかんで撫でてほしいところへ誘導する。本当にこんなところまで触られたのか?ああ、もっと奥まで触られたかもしれねぇ、念のために撫でてくれよ。図体のでかい男二人が薄暗がりでごそごそしているのを、まわりの者は見て見ぬふりをする。酔っ払いに関わって良いことなど何もないからである。