ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

言葉うらはら(ss)



激しい雷雨の中アジトに戻ってきた角都を飛段はバカにする。何もこんな天気の中帰ってくるこたぁねえだろうがよ、明日まで待ちゃきっと晴れたぜ、無駄なことしやがったなオイ。角都は黙ったままずっくりと重い装束を脱ぐと濡れた体を拭きもせずに寝台に横たわる。相棒のタオルを引っぱり出してきた飛段は、まず相手の顔と髪を、次いでざっと体を拭きながらも嘲弄の言葉を途切らせない。次の仕事でも控えてんのか、ときはカネなりったって濡れて風邪ひいてポックリいったら元も子もねえだろ、無理すると死ぬぞジジイ、ゲハハ。どんなに嗤われても反応もなく目を閉じたままの角都はきっと眠ってしまったのだろう。口をつぐんだ飛段は相棒の足元に座り込むと汚れて重い脚二本を自分の腿に載せ、冷たく硬い足を温かい両手でゆっくりと揉みほぐす。こいつの腕やナニがなくなったってどうにかなるけどよ、と飛段は乱暴な言葉を呟く。足は大事にしなきゃならねえ、どんな天気の中だって角都の体や声や他のものを運んできてくれるんだからな。感謝の念をこめて足指に口づける飛段に、寝ているはずの角都が不機嫌な声をかける。うるさいぞ、どうしても舐めたいんなら他のものを舐めたらどうだ、この役立たずめが。おいおい舐めてほしいのはテメーだろ、だったらちゃんと頼むんだなスケベ野郎。フン、俺が帰ってきたのが嬉しいなら素直にそう言え。ハァ?恥ずかしい勘違いしてんじゃねーよバーカ。脚を自分の太腿から払い落すと、それだけは角都が身につけていたパンツの股間に乱暴に手をついて、飛段は再び悪口を吐き始める。と、伸びてきた腕が飛段の首と胴をつかんであっという間に抱き寄せる。まあ足は別格としても、腕もあるに越したことはないのだ。他のものも。