ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

そこへ行って手に入るものなら(ss)

6/17に「飛段って頭と体が切り離された場合、集中すれば体を動かせたりしないのでしょうか」とコメントを下さった方のリクによる小話です。ええと…まず、すみませんと謝っておきますm(__)m飛段の可能性について気づいた角都があえて黙っている、という主旨を、飛段が黙っている、という形に変えてしまいました。いただいた設定の方がほのかにエロティックで魅力的だったのですが、力不足ですみません。これに懲りず、よろしければまたリクを恵んで下さいませ!




テレビを見ているデイダラに飛段がからむ。アホ面さらして何見てんのかと思ったら食べ歩きの番組かよ、くだらねえ。棘のある口調だがデイダラは反応しない。飛段はデイダラの隣に座り、大きな声でさらにけなす。どこの何が旨いったって、今目の前になかったら意味ねぇじゃねーか、バッカじゃねー。黙って流そうとしていたデイダラだが、次第にうるさくなり、お前だってそこに行きゃ角都に会えるっつったら行くだろ、うん、などと言ってしまう。なんでそこに角都が出てくるんだよ、と返す飛段はみるみるしゅんとなり、黙ってそっぽを向く。そのまま二人はけたたましいテレビ番組を見続ける。椅子の背もたれにそっくりかえる飛段の喉元に、首輪のような赤い線がぐるりとついている。まだ肉の色を宿すその線を見ると、デイダラは、昨夜この風変わりな友人の部屋で、生首と体に分断された友人を発見したときのことを思い出す。息を飲むデイダラの前で首のない体はむくりと起き上がり、自分の頭を拾うと、ズチャ、と音を立ててそれを首の断面にのせ、色の悪い唇を開いて、あークソ、死ねやしねぇ、と言ったのだった。今、けだるそうに首の傷をぼりぼり掻きながらテレビを見ている飛段にデイダラは、お前、首なくても動けるんだな、ときいてみる。確認の口調に対し、あたりめーだろオレぁ不死身だぜ、とつけつけ言い放った飛段は、しかし、すぐに慌てたように言葉を継ぐ。オイこのことは角都にゃ内緒だぞ、あいつオレの頭をくっつけられるのは自分だけだって思ってんだから、絶対に言うんじゃねーぞ。デイダラは心底くだらないと思うが、友人よりも分別があるのであえて口にはしない。角都はいつ戻るんだよ。知らねえ。どこに行ってるんだ。知らねえ。だんだん小声になる返答にデイダラは質問をやめ、かわりにテレビの音量を大きくしてやる。もしそれが金で買えるものならば、どんなに遠いところへ行っても、どんな手段を使っても、贖って手に入れたに違いない。飛段もデイダラも。