ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

洗身・懲らしめ・約束・裁縫の見返り、みんないっしょくた(ss)



角都に向けて飛んできた起爆札を、飛段は反射的に手で握って止めてしまった。考える間もなく爆発が起き、飛段がひっくり返っている間に、角都が相手を仕留めた。体の硬化もできないくせに何しているんだお前は、とさもバカにした口調で角都が言うが、自分を抱き起こした腕が優しかったことを不埒に喜んでいる飛段はまったく気にしない。両腕が吹き飛んでしまったがそんなものは角都に修復してもらえばいい。ちぎれたソーセージのような指を一本一本縫いつけてもらいながら、二度とあんなことをするな、何度でもやるぜオレぁ、などと甘ったるく言いあっているうちはよかった。ところがそこから水場へ移動し、どろどろに汚れた体を洗う段になって、問題が生じた。ひどく損傷した飛段の手の代わりに自分が飛段を洗うと角都が言い出したのである。それはちょっと、と飛段は思った。なんだか嫌な予感がする。しかしそれをどう言えばよいのかわからずもたもたしている間に角都の手はさっさと飛段の装備を外し、服を脱がせてしまう。おい、オレぁ自分でできるぜ。余計なことをするな、せっかく縫いつけた指がもげて流れたら俺が拾わなくてはならん。さっさと来い、と促されて飛段はしぶしぶ流れに入る。中途半端に前を隠し屁っ放り腰で立つ相棒に角都は容赦なく水をかけ、手で洗っていくが、ときおり手が不自然に長くとどまる個所があり、それがなぜかすべて飛段の感じやすいところなのだった。なあ角都、とたまらなくなった飛段が背後の相棒へ呼びかける。お前なんか怒ってねえ?なぜそんなことを訊く。問い返す角都の指が飛段の腰骨の上を何度も往復する。不用意な声を漏らしてしまった飛段がすぐに黙りこむと、角都の片手が飛段の前へまわって内腿を撫であげた。腰を引く飛段は自分の臀部を角都の股へ埋めてしまい、今さらながら自分たちが全裸であることを意識する。角都のもう片方の手はやはり飛段の前へまわって喉をつかんでおり、今や飛段はしっかりと相棒にホールドされてしまっている。細かい縫い目だらけの指が角都の手をまさぐるが、たとえそれが損なわれていなかったにしても用をなさなかっただろう。徐々に手指に力を込めながら角都が言う。俺は怒っているのではなく困っているのだ、飛段、お前が起爆札でまた怪我をするようなことがあったらどうしようかと思ってな。内腿を撫でる手が偶然のように半ばたちあがった飛段の急所に触れ、また滑り降りる。俺がいつもそばにいるとは限らん、そんなときお前が両手を失ったらどうなると思う、ん?角都の手の中で飛段の喉仏が上下する。オレにどうしろってんだよ。とりあえず起爆札は二度とつかまないと誓え、あれはよけるべきものだ、違うか。角都は飛段の急所をつかんで何度かしごくと、その手でぴしゃりと竿を打った。なんだここはいやにぬるついているぞ、よくよく叩いてこすって洗ってやろうな。打たれて尻まで硬直させた飛段は、すぐに与えられるやわやわした刺激に過敏に反応し、腰をくねらせて逃げるとも誘うともつかない動きをしてしまう。角都よォ、と情けない声が相棒に抑えられた喉から発せられる。やっぱオメー怒ってたんだなァ、わかったよ起爆札はもうつかまねぇ、だからもう体洗うのは勘弁してくれよォ。さしあたって望みの言質を得た角都は相手の要求を飲み、洗身をやめてやる。さて、これから始まるのは洗身ではなく別のことだ。あらためて股を探られた飛段がけげんそうに振り向くが知ったことではない。