ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

だめな大人2(ss)

こあん様からのリク「鼻づまり」による小話です。お題だけで、そこにこめられた違和感や焦燥が皆無になってしまいました;;そちらはまた後日ということでm(__)mでも書いてて楽しかったです^^こあん様、ありがとうございました。またぜひ恵んで下さいませ。



城を攻め落としに出かけた里で、飛段が盛んにくしゃみをする。風邪かもしれない。角都は露骨に相棒から距離を取り、常に風上にいるよう心がける。ひでぇ野郎だなテメーと飛段は相棒をなじるが、その間にもくしゃみは飛び出してきて飛段の体を折り曲げる。こうなると戦闘は難しい。仕方なく角都は飛段を胡散臭い薬屋へ連れていく。店の主人は飛段の喉を覗きこみ、胸の音を聞いて、風邪じゃあないね、と言う。山の中を通ったって?なら花粉症かもしらん、よくわからんが。はなはだいい加減な診立てに角都は呆れるが、アレルギーならばうつることはないと非常に利己的に安心もする。気休めにと渡された薬を飲んだ飛段は店を出て歩くうちになぜか眠いとぐずり始め、手を焼いた角都がおぶってやるとすぐさま寝入ってしまう。どうやらそういう薬だったらしく、飛段の体は手ごたえなくグニャグニャになり、揺すっても目を覚まさない。確かにくしゃみは止まったが、これでは戦闘は難しいどころか不可能である。角都はその日の城攻略をあきらめざるを得ない。度重なる予定変更にいらいらしながら入った安宿の、隣の部屋と襖で仕切られただけの三畳間に相棒をどさりとおろした角都は、装束を脱いでしみだらけの畳に胡坐をかき、投げ出された格好のまま眠りこける相棒を眺める。鼻で息ができないためだろう、ゆるんだ顔は上気していて口が開いている。見れば見るほどアホ面だ。退屈しのぎに角都は飛段の顔をひねりまわして遊び、最後に口に指を突っ込んで舌をつまんでみる。暇を持て余しての行為だったのだが、これが恐ろしく蠱惑的で角都はドキリとする。飛段はキスが得手ではなく、いつもは子どものようにぺたぺたと唇を合わせるだけなのだが、口の中は思いのほか熱く、豊潤で、とろとろしていた。鼻づまりのせいかいつもより深く漏れる吐息も悩ましい。角都は指を引き抜いて相棒の顔をしげしげ眺める。赤い顔も半分開いた口も変わりないのに、角都の方は先ほどと打って変わって熱心に相棒の上に屈みこんでいく。やがて身を起こした角都の顔は赤く染まり開いた口からはよだれまで垂れている。アホ面という点では二人とも同類だが、下半身が露出している分角都の方がタチが悪い。