ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

全身これ鼻となってたたかう(ss)

こあん様からのリク「鼻づまり」角都サイドです。だめな大人2の続きです。こあん様、本当にありがとうございました。



本丸に近づくにつれ城の警護はますます堅くなるが、俺は頭に叩き込んだ見取り図どおりに階層を進んでいく。火矢や投石が降り注ぐ。隣で鎌を振るう相棒が何かをわめいているが、わあわあという音ばかりで意味が取れない。どうせまたジャシンでも呼んでいるんだろうと無視をして俺は進む。火矢もうるさいが投石がなかなか厄介だ。強行突破をしあぐねてつい受け身になる俺のそばに相棒が飛んできてこちらの背をバタバタと叩き、大声で怒鳴る。背中に火ィついてるって言ってんだろーが!なにボーッとしてんだ、テメーおかしいぞ角都!怒鳴りながらも飛段は機敏に身をひるがえし、俺を引きずって投石から逃れる。精一杯の自尊心をかきあつめて俺はコートの襟から相棒の手を外し、自力で攻撃に立ち向かおうとする。また飛段が何かわめく。実は俺の聴覚はほとんど役に立っていない。触覚さえも鈍くなっている。鼻がつまっていることがこんなに難儀とは知らなかった。マスクの下で俺は口呼吸を繰り返し、鼻のことしか考えられない脳に酸素を取り入れようとする。何やってんだ、という呆れ顔で相棒が棒立ちの俺をちらりと見る。しょうがないだろう、今日の俺は戦闘に集中できないのだ。いろんなものが気に触る。うるさい警護兵も偉そうな相棒も薬店の藪医者主人も、ついでに風邪引きの相棒の唾液をすすって喜んでいた昨日の自分も。最後のものは特に許し難い。