ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

コミュニケーション(ss)



虫の知らせでもあったのだろうか、デイダラがまずそそくさと自室へ戻り、いつもはマイペースにずっと茶をすすっているイタチもそろりと消え、暁の若者たちと親交を深めようと思っていたのに一人残されてしまったマダラが自分も腰を上げかけたとき、飛段が談話室へやってきた。何を考えているのかわからないうっそりとした無表情で、しかし抜け目なくマダラの退路を断つルートで近づいてくる。あまり気は進まないがこいつも暁の若手には違いない、二人きりになったのも何かの縁だろう、今日は飛段と語り合うとしよう。椅子に再び腰を落ち着けたマダラが「センパイおつかれッス」の「セン」を言い始めたとき、それをつぶすように飛段の方から、トビよォ、と呼びかけてきた。そこからは立て板に水の勢いだ。なぁトビちょっと聞いてくんね、オレのダチのことなんだけどよォ、なんか悩んでるっつーの?そいつには決まったツレがいて、そのツレの野郎がなんか変なことするらしいんだわ、ああ言っとくけどダチは女だぜ、野郎と付き合ってんだから当然だろ、遠くに住んでてこことは絶対に関係のない女だからな、そこんとこ忘れんなよ、でぇ、そのツレの野郎がやけに写真を撮りやがるんだよ、オレのダチが風呂で服脱いでるとことか、すっげー疲れてハダカで寝てるとことか汚れた顔とか撮って、それをコソコソ見て変なことしてんだよ、おかしくね?だってエッチなことしたかったらそばにいつでもオーケーなオレ、のダチがいるのによ、そっちほっといて写真見てるって変態じゃね?オメーどう思う?滅多にないことだがマダラは言葉に詰まり、ついうっかりと、センパイ嫌なことは嫌だってはっきり言った方がいいですよ、と本気の助言をしてしまう。とたんに飛段が真っ赤になって怒りだす。ハァー?!だだ誰がオレの話をしてんだよ、ダチっつったろ、遠くに住んでる女のダチ!なんだよトビのバーカバーカ変なこと言うと承知しねーぞテメー!猿のようにキーキーと怒った後、椅子を蹴って立ち、足音荒く談話室を出ていく飛段の後ろ姿を見送りながら、再び残されたマダラは深いため息をつく。若人との語り合いは思ったよりも難しい。あんなものと日々顔を突き合わせて倦むことがない角都は、変態とはいえ、やはり大した男だ。