ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

反応速度(ss)



飛段がムキになって蠅を追う。角都は呆れてそれを見ている。大雨の中を歩いてきてやっと見つけた宿だというのにのんびり寛ぐこともできない。いい加減にしろ、蠅より貴様の方がよほどやかましいぞ。オレぁあいつらが嫌いなんだよ、と飛段が騒ぐ。あいつらクソにとまった足でメシやらなんやらにたかるんだぜ、くそっ死ねっ死ねっ。なかなか虫を追い切れない飛段は、座卓の上に広げられた角都の帳簿をつかむとそれで虫を打ち落とそうとする。だいじな帳簿で虫をつぶされてはかなわないと、角都は慌ててそれを奪い返しにかかる。蠅が壁にとまる。実に大きな蠅だ。汁気も多いに違いない。帳簿を振りかざす飛段と蠅の間に割って入った角都は、まさか自分を打ちはしまいと過信していた相棒に分厚い帳簿で脳天をしたたかに打たれ、一瞬がくんと頭を下げる。己の行為に相手と同じぐらい驚いた飛段はすぐさま飛んでくる拳をよけ切れない。まともに食らって引っくり返り、怒り心頭の相棒に蹂躙され、血やら何やら蠅が好みそうな汁をまき散らす。そのうち暴力ついでのように唐突に行為が始まり、仰向けに押さえつけられた飛段に角都がのしかかる。浴衣はすでにはだけているし飛段は下着を穿いていない。おい待てテメーはえェよ!貴様がのろまなんだ!益もない言い争いを、床に放りだされた帳簿の上から蠅が眺めている。ほどなく下の男が達すると上の男が勝ち誇りながら、万事のろまなくせにこんなときは早いんだな、と言って、せかせかと下の男の腹の上に体液をまきちらす。蠅は頭を傾げ、味覚器のついた脚をせわしくすり合わせる。この二人には関わらない方が良いと本能が告げる。それにクソはもちろん血や涙や唾液は好物なのだが、どんどん出てくるあの体液は苦そうでどうも食指が動かない。