ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

こう暑いと座ることもできない(ss)



猛暑が続く、あまりの暑さに町の街路樹が落葉している、長年生きてきた角都でさえもこの気候は異常だと考える、飛段にとっては前代未聞の暑さなのだろう、ひどくぐったりとし、安宿の壁に裸の胸を押しつけてオットセイのように背を反らせ、やはり壁に押しつけられた首を真横に向けている、大きく湾曲した背に続く尻はこの熱気の中だというのにひんやりとしていて角都は達した後もそこから手と体を離すことができない、背から流れ落ちてきた汗が腰椎のくぼみに溜まっている、と飛段がかすかな声を漏らして壁についていた手から力を抜く、ぐったりしながらもまっすぐ前を向いていた背骨がぐにゃりと歪んで壁からずり落ち、すでに役に立っていなかった脚ともども上半身も重力に従ってぶら下がる、戦っていないときの飛段はとてもだらしなく疲弊した若造に過ぎないと角都は考える、飛段の体で今一番高い位置にあるのは角都につかまれ貫かれた尻であり、それは角都の脳の火照りがおさまるまで、そのまましばらくその位置にあり続ける。