ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

色彩(ss)



高台から町を見下ろした。角都と飛段が立つ山の影が町の半分を覆っている。残りの半分は夕陽を反射して黄金色に輝いているが、あとしばらくすればそれらも透明な青色に包まれるのだろう。遠くに見える緑色の海に白い船が点々と散っている。まだ明るい水平線の上には菫色の空が広がり、描かれたような雲は灰色から薔薇色の階調に染め分けられている。角都は右隣の、飛段は左隣の相棒をうかがい、偶然目と目を見合わせる。きっとこいつの頭んなかは今日儲けた金のことでいっぱいなんだろう、と飛段は考え、多分腹が減ったとか足がつかれたとかこいつもうじき言いだすんじゃないか、と角都は考えている。色にあふれたたそがれの中で、あの海の色を、雲の色を宿す瞳を覗きこみながら。