ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

角の獣(ss)



制作中のデイダラの部屋に押し掛けてきた飛段が、あいつマジ強いんだぜェ、と自分の相棒の話をする。つぇえしかっけーし目とか超きれーだし。そりゃよかったな、うん、とデイダラは軽く流す。彼の手の中の粘土が、額に長い角を持つ、馬に似た獣の形を取り始めている。けど怒ると超スーパーこえーんだよなァ、そのくせ頭撫でてやると嬉しそうにじっとしてるしよォ。そりゃよかったな、うん。デイダラは集中している。この獣は美しく、誇り高く、恐ろしく、最も優しい生き物なのだ。角は曲げた方がいいだろうか、それともまっすぐか、立たせるか、座らせるのか、処女は添えるのか。芸術に悩むデイダラの隣で、あいつをどう扱えばいいのかオレにゃよくわかんねーよ、と飛段がぼやく。そりゃよかったな、うん、とデイダラは答える。二人とも同じものについて考えを巡らせているのだが、その偶然には気づいていない。