ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ままごとのようにひと月を暮らし(ss)



長期任務のために角都と飛段は部屋を借りた。木造の二階建てで壁も薄い安アパートだ。古いだの狭いだのと文句ばかり言うわりに飛段は上機嫌で、情報収集から戻ると日に焼けた畳に寝転がり、相棒が作る味噌汁を飲んで焼魚をつつき、電波のせいか映りの悪いテレビを見ながらよく笑った。地下水路を辿って目標である大名一族を皆殺しにし、綿密に調べ上げたその財産を洗いざらい奪って売りさばけるものを金に換え、その土地を後にするとき、あーあァ、と飛段が頓狂な声を上げる。とうとう終わっちまったなァ、なんかけっこう面白かったと思わねぇ?角都は肩をそびやかし、無言でそれに応える。任務を楽しむとはめでたい野郎だ、こいつがどういうつもりで言っているのかわからんが多分最後の派手な殺戮が気に入ったのだろう、それとも声を殺して行う夜の営みが好みだったか、確かに悪くはなかったがな。世俗の幸せにうっかり自分も浸ってしまったことを忘れるため、角都はわざと悪ぶってそんなことを考えている。