ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

掃除はクリスマスが終わってから(ss)



みんなでアジトの大掃除をやっているのに飛段が起きてこない。角都がいれば叩き起こしてくれるんだが生憎留守なのだ。なまじに手を出されるとせっかくきれいにしたものが台無しになりそうだし飛段がいなくてもオイラはOKなんだが、仲間はずれにされたような気がして拗ねているのかもしれない、とペインが的外れな心配をするので、仕方なく奴の部屋を訪ねた。カーテンをジャッと開くともうもうたる埃が光の道を形づくり、無駄だと知りながらオイラはちょっと息を止める。何すんだよー、と毛布の中から飛段が抗議する。せっかく頑張って寝てるんだから起こすんじゃねーよ。そんなことに頑張るなよ、みんな掃除してるんだぜ、お前も起きて手伝えよ、うん。いや、と毛布の中の飛段がやけにきっぱりと言う。今日は夜に起きてねーとダメなんだよ、頼むから今は寝かしといてくれよデイダラちゃんよォ。角都が戻るのはまだ先だろ。ちげーよ、ほら明日はクリスマスじゃねーか、ずっと起きてりゃサンタが見られるだろ、いっつも寝ちまって見逃しちまうから、今夜こそはばっちり見てやろうと思ってさァ。オイラは曖昧に頷いてその場を去ろうとする。こんなことまでは手に負えない。けどこれまでの角都の苦労を考えたらかわいそうになってきて、サンタは毎年来るとは限らないぜ、と言ってみる。特に今年は不景気だからな、サンタも大変なんじゃねーかな、うん。角都もそんなこと言ってたっけなァ、実際来ない年もあるしな、と能天気な声が毛布から上がる。けどどうせダメもとだろ、角都がいねーから夜暇だしやるだけやってみるさァ、あー出てくときカーテン閉めろよな、頼んだぜ。こんなことまでは手に負えない、と再びオイラは考えて部屋を出る。とりあえずカーテンは閉めてこなかった。あとはせいぜい大きな音を立てながら掃除をすることにしよう。オイラにできるのはそれぐらいのことだから。