ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

からだと心のすべてをもって愛しているとまだ伝えていない(ss)



角都が満身創痍でアジトへ帰ってきた。目標を取り逃がしてしまった、と倒れる前に角都はペインに報告したが多分角都の方が逃げ帰って来たのだろう。六体となったペインは小南とともに角都の治療にあたり、すぐそばをうろうろする飛段を遠ざける。邪魔だからどいていろ、と厳しい口調で言われた飛段は珍しく従順に後ろへ下がり、それでもこらえきれずに口を出す。なあ、なあ、角都どうなってんの、怪我ひでーの、心臓まだ残ってんだろ、いくつ残ってんの。返事をもらえないまま隙を見て角都の足元へ行き、爪先に触れようとする飛段を今度は小南が、やめなさいチャクラが乱れる、と叱る。慌てて引いた手のおさまりがつかず、飛段は胸のペンダントを探る。けどよけどよォ、服全部脱がせてなんも掛けてやんなかったら角都寒いんじゃねーの。寒さがわかるぐらいなら、とペインが言いかけるが、ちゃんと集中してと小南に意見されて黙りこむ。飛段は中途半端にちょん切れた言葉に身震いする。寒さがわかるぐらいならとはどういう意味だろう、こんなに寒いのに角都にそれがわからないなんてことがあるだろうか、自分の体はこんなに震えているというのに。