ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

伝染(ss)



インフルエンザが流行っているからちゃんと睡眠をとって抵抗力をつけるように、手洗いとうがいも励行するように、とペインが指示を出した。こんなことまで言ってくるなんてあいつホントに暇だよなー、とぼやきつつ角都の監視の下しぶしぶ手を洗う飛段だが、洗いが不十分だと指摘されて辛抱をきらす。おいおい冗談じゃねーぞインフルなんか屁でもねぇこっちは不死身だっつーの。ぶつぶつ怒る飛段はしかし、背後から抱きこんできた角都の浅黒い指に両の手指を丁寧に洗われるうちに機嫌を直していく。流水の下で四つの手が絡んで睦み合う。角都は腕の中にとじこめた相棒の耳元でねっとりと呟く。おい飛段、命令は絶対だ、それに貴様はともかく俺は不死身じゃない、風邪をうつされる俺の身にもなれ。耳元からムズムズと発熱してきてしまった飛段は、ううん、と声を上げ、背後の他人に尻をこすりつけながら背をそらす。熱は角都にも伝わったらしい。ばらけた手の一つが濡れたまま飛段の頬をつかみ、指を口内へ割り込ませて舌をこね始める。さあ次はうがいだ。