ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

免罪符(ss)



任務に追われるうち、オレは大事な布教をすっかりおろそかにしてしまっていた。焦ったオレは怒りの矛先を暁へ向け、こんなにこき使われたんじゃ布教ができない、と相棒に当たり散らした。崇高な目的を果たせないなら生きている意味がない、オレは暁を抜ける、このままでは神に顔向けできないからな、てめーとのコンビも解消だ。言うだけ言ってオレは角都の言葉を待った。本当のことを言えばオレは角都に引きとめてほしかったのだ。そうすればオレの粗末な布教の責任を角都にかぶせることができる。勝手にしろと切り捨てられてもいい、そうしたら、今までてめーのバイトに付き合わされて無駄にした時間を返せとかなんとか難癖をつけて喧嘩に持ち込み「やるだけやったけどダメでしたジャシン様」と詫びる口実を作ることができただろう。なのに角都は応えなかった。たたみかけて罵っても、肩をどんと突いてやっても、両腕をだらりと下げて見開いた緑色の目でじっとオレを見ているだけだった。オレは泣いて謝った。