ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

痛チョコ(ss)



K:
安い板チョコを一枚買い与えたらバカな相棒がウヒャーと言って喜んだ。俺が気を変えて取り上げるとでも思ったのか、すぐに包装を剥いてかぶりつく。つくづくバカだなと思って放っておくと、今度は食いかけのチョコを振りかざしてこちらに向かってくる。もらってばかりじゃわりーから俺からも少しやるよ。バカ、もともと俺がやったものだろう。でも今はオレのチョコだぜ。バカとは話ができん、いいから一人で食ってろ。ホントは食いてーくせに痩せ我慢すんなよォ。ひとしきりやりあった後、俺はバカを背後から抱き締めてチョコ攻撃から身を守る。俺が食べてしまいたいのはバカそのものなのにバカにはそれがわからないのだ。バカだから。


H:
角都がチョコを買ってくれたのでオレは超喜んだ。甘い菓子も好きだけど、ケチな角都がこの日にオレのためにチョコを買ってくれたことが何より嬉しい。オレぁ超スーパー喜んでるぜ!ってところを見せるために急いで食ってみせると、角都のヤローそっけないふりをして目をそらしやがる。ああ、と遅ればせながらオレは気がつく。ケチな角都は自分のチョコを買っていないに違いない。気は利かないけどケチじゃないオレはまだまだ残っているオレのチョコを角都の口元に差し出してやるが、奴はいらないと言う。オレはだまされない、だって角都がこっちを見る目はえらくもの欲しげなのだ。食え、いらん、と押し問答の末、角都はオレの後ろから腕をこちらの胴に回し、ホールドしてくる。チョコを振りまわしても頑として食おうとしない。欲しいなら欲しいと言えばいいのにホント素直じゃない野郎だ。ケチのくせに。