ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

山遊び(ss)



飛段が調子に乗って焚火を大きくしているうちに、干しておいた角都の履物が焼けてしまった。角都は大いに怒り、新しい履物を調達できるところまで自分を背負って行けと飛段に命じた。軟弱なお前には無理かもなと挑発された飛段は、テメーなんざ肩にとまった小鳥みてーなもんだぜ角都ちゃんよォなどと言い返してしまい、でかい男をおぶって延々と続く山道を往くことになった。暖かい背中に乗った角都はご満悦である。他人に背負われる機会などまずないので視点が高くなるだけでも楽しい。代わりに担いでやった飛段の鎌で高い枝を引き寄せて何かむしったりしている。暴れんなじっとしてろォ、と飛段がわめく。おいなんか頭に落ちてきたぞ。ああ、虫だろ。虫ィ?!冗談じゃねえ取ってくれよオイ!うーん、と角都は気のない返事をし、手のひらに集めた梅の花を相棒の髪の上に並べて遊び続ける。まだ寒気は残るが、世界のところどころはもう春だ。