ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

夜食(ss)

藤堂様からのリク「夫婦茶碗」による小話です。互いに相棒の手指を食器代わりに使っております。藤堂様、ほっこりしたお題をありがとうございました^^



夜中に腹が減り、角都も腹が減ったと言うので、二人してズボンを穿いて台所へ行った。炊飯器を開けるとメシが残っている。運がいい。でもおかずはない。塩入れと味噌の壷が見つかったので、オレたちはどんぶりに水を張り、かわりばんこに指を浸して冷や飯を握り、握ったそばから口に入れていく。オレは塩、角都は味噌を手のひらになすりつけるが、互いに別の味も欲しいから、自分のをひとつ食ったあとには相手の手からひとつ食う。お前のはかたいぞ、もっと優しく握れ。そう言うテメーのはフニャフニャで食った気がしねーぜ。薄暗い電球の下でなんだかスケベくさい文句をこそこそと言い合いながら、オレたちは互いに相手の指をついばむ。静かな夜。