ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

いやな釣り(ss)



雷遁を飛段に当ててしまった。目まぐるしく飛び回りながら対戦相手をからかっていた飛段はギャーと叫んでもんどり打ち、鎌もろとも崖下へ落ちていく。あの野郎がチョロチョロしやがるから、と角都は自分に言い訳するが、実際には手元が狂ったのである。やってしまったことは仕方がない。崖っぷちに立った角都は全心臓を繰り出し、両腕を振り回して応戦しながら、地怨虞でつないだ体の一部をするすると足元の虚空に下ろしていく。やがて、長い長い地怨虞の先のナニにつかまった黒焦げの飛段が、こら角都テメー、とわめきながらカジキマグロよろしく釣り上がってくる。揺らすなバカ、こっちは戦っているんだぞ。知るかよ最初に邪魔したのはテメーだろ。がみがみ喧嘩をする二人の前で、対戦相手の抜け忍集団は既に逃げ腰だ。真っ黒に焦げているのに元気に白い歯をむきだしている飛段も、ナニに人ひとりをぶら下げて平気な角都も、どちらも気持ち悪すぎる。