ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

三つ子のたましい(ss)

杏路様からのリクエスト「穢土転生で蘇った角都はまず何を思ったのか」による小話です。なんだかあっさりしすぎてしまいました(>_<)もっとこう、怨々としてほしかったんですが、ウチの角都はダメですね…。



こい、と呼ばれて、おう、と返す。その意識を核として無限の塵芥があつまり、もう分解されたはずの肉体を形づくる。俺は目を開き、上体を起こし、立って、歩き始める。命令に応える動作は自律ではなく、鈍い。こんな状態で戦いに行かなければならないことを俺は恥じる。そこには、呼び返された多くの者が集結している。鉄錆のにおいに混じって、恥のにおいがたちこめる。死臭に似た、饐えたにおい。すぐに新たな命令が下され、俺たちは馴染みの戦場へと進む。曇天。戦いに興奮する者、倦んでいる者。いつの時代も戦場は戦場でしかない。頭をめぐらせても目を引くものは何もなく、諦念で俺は失笑する。手っ取り早く済ませることにしよう、このよみがえりに利はなさそうだ。そうして俺は傷の上に傷を重ねてあっさりと贋の生を終える。刺すほどに欲しているものを得るには別の生を待たなければならないらしい、ならば周期を早めるまで。術者は知らなかったかもしれないが、俺は生来の短気者なのだった。