ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

色彩断簡(ss)



土と草の田舎の道、道端の野仏にどこかの女がおはぎを供えている、女がいなくなってからオレと相棒はおはぎをいただく、おはぎと一緒にあったかざぐるまは朱色の紙で張られていて傾いてきたお天道様に照らされぴかぴかしている、水子供養だろうと相棒が言う、腹から流れた子の墓がわりらしい、赤いよだれかけをした石の仏は苔むして目鼻もなくなっているが、これも斜陽に照らされてぴかぴか光っている、まわりにスイスイと茎を伸ばして咲く彼岸花、赤と緑は今の相棒の目の色と同じだ、おはぎを食べる間にオレは昔の相棒の話をしてみる、黒檀のように黒光りする肌と目を持ちオレと同じぐらいイカレていて腕もたったが不死じゃなかったから毒虫の攻撃で体中をパンパンに膨れ上がらせた男の話を、あのときオレは儀式で奴を不死にしようとして結局殺した、それを聞いた角都が自分にはそれをやるなよと言うのでオレは笑ってしまう、なんだテメーがオレを殺すんじゃなかったのか、フンお前を殺すときにいらん手間をかけさせるなということだ、あーそうかよそういうことにしてやるぜ、そう言ってオレは持っていたかざぐるまを地面に刺す、風が吹き、彼岸花とならんだかざぐるまがカラカラ回る、おはぎがのっていた笹の葉がピッと音を立てて飛んでいく、先に歩き始めた相棒をオレは追い、すぐに肩を並べる、透明な青い空に絵に描いたような白い雲、きっと今日は一年中で一番いい天気。