ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

常に新鮮(ss)



飛段の記憶力は粗末だ。旅の目的地や人の名はもちろん、忍者としての常識である印の種類や性質変化の優劣関係などですら何度聞いても覚えられず、そのたびに相棒の角都を頼り、聞いたことをまたすぐに忘れる。性質って五つもあるじゃねーか、じゃんけんみたいに三つなら覚えられるけどよー、と己の愚かさを大声でさらけ出す相棒を、角都は特に疎んじることもない。それどころか何度も同じことを尋ねてくる飛段を初々しいなどと愛でていたりする。傍からは理解しがたいことだが、いい歳をしたこの二人は未だに不慣れな新米なのだった。飛段は世界の、角都は相棒の。