ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

独語・Co15(trash)

久しぶりに髪を洗いました。忙しさにかまけて無精をしていたらこんなことに。来週も凄まじい感じに仕事が詰まっていてどんよりしております。まあ髪洗わなくても死なないけどね。(ネットで遊ぶ暇があったら頭を洗うべきだって?そりゃ正論だけど…^^;)



<カンパニー 15>


いつからか、食堂へ行っても角都にスプーンが出されなくなった。使い慣れてきた現地語の挨拶のせいか、寒さや暑さをしのぐためにまとっている布のせいで土地の者と判断されているのか、それともスパイスの多い食事を日々食べていると体臭が変わるからそのせいなのか。土地の流儀に従って指で料理を食べながらそんなことを考えている角都の前で、運転手が時計を気にする。テレビで宗教の番組があるのだと言う。いつもなら相手の都合などお構いなしに自分のしたいことだけをする角都だが、食堂の従業員を呼ぶと残った料理を包ませ、持ち帰る手はずを整える。運転手は喜び、角都をバイクの後ろに乗せて夜道を走る。会話のようにクラクションを鳴らしながらくねくねと進路を変えるバイクの後ろで、両手で料理の包みを抱えたまま角都は安定した姿勢を維持する。振り落とされまいと運転手の体にしがみついていたのが嘘のように今ではバイク上から写真を撮ったりもする。今日の写真は良い出来だった。畑でサトウキビの汁を粗く煮詰めている男たちがおり、そばでは家畜が飼い葉の袋に頭を垂れ、幼い子供が棒を持ってカメラを睨みつけている、そこを夕日が明るく照らしていた。角都はバイクの速度を落とさせ、シャッターを切った。フィルムは現像するまで結果がわからないものだが、まれに撮った瞬間にうまくいったと直感することがある。今日はまさにそんな日だった。
ホテル、それともオレんち来る?
お前の部屋には酒があるんだろう。
飛段が背中で笑い、ぐん、とアクセルをふかした。今夜はこいつの部屋に泊まるか、と角都は考えた。テレビを見ながら料理を食べて酒を飲んだらきっと夜も遅くなる。成り行きによっては抱くことになるかもしれない。ますます遅くなるだろう。しかたがない、と角都は心の中で言い訳をする。プロジェクトの終了と自分の帰国について今夜は触れまい、明日の朝にでもざっと話せば済むことだ、うむ。