飛段が道端で売っている焼き
イカを食べたいからカネを出せと言う。知らん自分でどうにかしろと言ったら因縁をつけるように肩をぶつけ、あとでテメーの舐めてやるからよォいいだろォカネ出してくれよォ、と低い声で凄む。カネだけではなく汁まで出せというのか。無視しようと俺は考えるが、指が勝手に隠しから小銭をつまみだす。自分の行為に釈然とせず、むっつりと黙っている俺の前で飛段は
イカを買い求め、口の周りを汚しながら大きな声を上げる。なんだァしけたツラしやがって、元気出せ元気。カネはもう出してしまった。汁もいずれ出すだろう。そんな俺に元気まで出せとはとんでもないたかり野郎もいるものだ。