ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

さかな(ss)



角都の知り合いが一斗樽入りの酒をくれた。宿に帰ってからけっこうキツイそれをオレたちは盛んに飲んだ。じきにオレはつぶれて床に転がったが、角都は平気な顔で酒を飲み続けている。とてもつきあいきれない。奴は放っておいてこのまま寝ちまおうと思ったが、酒のせいか暑くて眠れない、ものすごく眠いのに。床の上でオレはズボンをどうにか脱ぐと、蒸れて痒いパンツの中に片手を突っ込んで掻き、もう片手でやっぱり痒い腋の下や乳首をぼりぼり掻いた。冷たい床板が背にひんやりとして気持ちよく、そのうちオレは本当に眠ってしまったらしい。次の朝、二日酔いで頭を抱えるオレをよそに角都は上機嫌で鼻歌なんか歌いながら髭を剃っている。見れば樽の中は空っぽだ。テメーあれ全部飲んだのかよ信じらんねー、と呻くオレに角都は、いい酒だったし酒の肴も悪くなかったからな、と返す。嘘つけツマミなんかなかったろと言ってもニヤニヤするだけでそれ以上は答えてくれない。