ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

上がって下がってまた上がって(ss)

「生まれたばかりの…」の角都視点Verを読んでみたいと言ってくださった方へ。ご要望ありがとうございました。よろしければまた恵んでやってくださいませ^^



儲け話があると連絡してきた情報屋に会いに行ったら死んでいた。泥酔して階段から落ちたという。昨夜のうちに会っておけばよかったと臍を噛んだが後の祭り。しかたなく次の目的地へ向かう道すがら、今度は高額の賞金首と出くわす。相棒と連携して相手を追い詰め、生け捕ったところで、今度は相棒がへそを曲げる。さんざん荒れ狂ってからいきなり大声で泣きわめく相棒を俺はもてあます。いい加減に落ち着けと言い聞かせても、そんなに贄が欲しいのならと儀式の手伝いをしてやろうとしても奴はますます泣くばかり。ほとほと困り果てた俺に、おい、とかすかに呼びかけるのは地面に転がる賞金首だ。どうやら意見があるらしい賞金首の折れた骨を俺は急いで接ぎ、医療忍術で内臓を修復する。やや人間らしくなった賞金首が言うには「おれのかみさんもたまにこうなるがこんなときには何を言っても無駄だ、まず手を握って次に肩を抱き、ゆっくり背中を撫でてしばらくそのままでいろ、うまくいけばじきに静かになるだろう」とのこと。助言に従い俺はびしょびしょの顔の相棒を腕に抱いて時が訪れるのを待つ。賞金首はどこかへ立ち去る。やがて泣き止んだ相棒は俺をバカ呼ばわりしながらこっちの骨がきしむほどに抱きしめてくる。俺は抗わずに抱きしめてもらう。儲け話も賞金首も手に入らなかった上にコートが涙と鼻水で汚れてしまった。このあと今日はいったい何があるのやら。