ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

飲み食い(ss)



コーラ:
角都はコーラを飲まない。飛段が理由を尋ねると、渋った挙句、あれは醤油に似ているだろう、と答える。飛段は仰天し、大声で反論する。しょーゆってテメーマジかよ?んじゃビールはションベンそっくりじゃねーか、カレーはどーすんだ!角都は相棒をさげすむように見る。俺は排泄物を食ったことはないからそれを食品と一緒にする奴の気が知れん、だが醤油の味は知っているからな。己の臆病を恥じるかたくなな相棒が悔し紛れに自分をバカにしてきたことに気づかない飛段は、いやいやあれはシュワシュワして甘くて、とただ一心にコーラのすばらしさを伝道しようとする。目的地に着くまでの道中ずっと。そんなこんなで犯罪者たちの時間が過ぎていく。

シーチキン:
海辺を通ったとき飛段が、オレのクソはシーチキンみてーなにおいがすんだぜ、と下らない自慢をした。角都はとりあえず相棒の頭を殴り、群青色の海と心地よい風を再び満喫しようとしたが、どこからか缶詰の魚の匂いが漂ってくるようで飛段の話を吹っ切ることができない。逃れられない相手なら立ち向かうまでだ。角都はさびた看板を掲げた店に入り、魚の缶詰を二つ買う。堤防に座って足をぶらつかせながら、角都と飛段は各々の缶を開け、指で柔らかい魚の身をつまみだす。んまい、と飛段が素直に喜び、うむ、と角都がそれに賛同する。貴様のクソはなかなかいけるな。おい食ってるときにバカ言うんじゃねーよ。魚を食べつくし指も舐め終わった二人は空き缶を堤防の上に放置して先へ行く。犯罪者らしく。