ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

あたり(ss)



飛段がニヤニヤと近づいてきて紙袋を突き出す。こん中の紙切れ一枚だけ取れよ、誕生日の祝いをくれてやるからよォ。肩たたき券か貧乏人が考えそうなことだな、と俺は返し、それでも片手を紙袋に入れる。よーく選べよハズレもあるからな、変なの引いたらテメーそうとう悔やむことになるぜ。選択肢には何があるのかを問うと、飛段はシシシと笑い、得意そうにクジの内容を並べ立てる。いい方から順番に「温泉券」「ごちそう券」「あんま券」「パシリ券」「相棒に説教する券」と続き、外れとして「相棒に説教される券」があるらしい(性的なサービスが皆無だが「そんなの毎日やってんだろ」とのことだった)。せっかく相棒がない知恵を絞ったのだ。俺はもったいぶって袋の中をかき回すが、内心馬鹿らしいとも思っている。何を引こうがどうせ相手は飛段で、ならば全部が大当たりだからだ。