いちゃいちゃ（ss）

相棒が自分を裏切ったらどうするか。むろん殺す、ぜってーぶっ殺す、と意見は一致したが、でもオレ死なねーし、と飛段が言ったことで簡単に終わるはずの話が終わらなくなる。オレを殺せなかったらテメー裏切られ損だなーゲハハ。わけのわからんことを抜かすなバカが、もし殺せないのなら死んだ方がマシという目にあわせてやるまでだ、たとえば、と角都がさまざまなバリエーションに満ちた責苦を並べ立てる。飛段は楽しげにそれを聞き、そんなの昨夜のアレと大して違わねーぜ、などと茶々を入れる。実は飛段がもっとも恐れる仕打ちは別離である。偶然だが角都にとっても相棒との別れが一番こたえる。だから角都はそれに触れず、飛段ももちろん口にしない。そんな臆病者の悪人ふたり。