ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

後悔(ss)



殺しの依頼を受けて出向いた町で、入り組んだ迷路のような商店街を抜けたら相棒がいなくなっていた。おおかた何かに気を引かれてよそ見をするうちにはぐれたのだろうと角都は考え、ごった返す通路を眺めて少し待ったが、それ以上は時間の無駄と判断し、単独で目的地へ向かった。ぎりぎりで追いついた標的は想定していたよりも強く、町の一角は角都と相手との戦闘で破壊され、角都は心臓二つを失い、一つを補充した。外へ出るとそこは阿鼻叫喚で、砂埃をかぶって石像のようになった人々がうずくまったり誰かを探して叫んだりしている。瓦礫の陰に腰を下ろして裂けてしまった体の部位を地怨虞で縫い、相棒と合流しなくては、と考えていたとき、砂煙の中から黒い人影があらわれて角都の方へ歩み寄ってきた。あーあァずいぶん派手にやったなァ、無益な殺生しやがって、テメー死んだら地獄に落ちるぜ角都よ。ふん、市街地を巻き込むつもりはなかったが、まあ今さらだな。おい反省すべき点はそこじゃねーぜ、オレと一緒ならもっと手際よくやれたってこと、つえー奴だったんだろ?なんで一人で行ったりしたんだよ、そんなんじゃいくら心臓あっても足りねーぞ。言い訳はいくらでもあったがしゃべるのが億劫で角都は言い返さなかった。考え事をするのも面倒くさい。飛段はそんな相棒の隣に座り、相手の頭のちりを払い、背を撫でた。瓦礫の中でじっと座って回復を待つ自分とそれに寄り添う男はいかにも被災者然としていてこの景色に似つかわしいだろうと角都は考え、少しだけ飛段の肩に身を預けた。