ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

確かに抜かれた(パラレル)(ss)



したたかに酔っぱらって、でもまだ遊び足りないなーと思ってフラフラしてたら黒コートのポン引きに呼び止められた。お前そんな状態で歩いているとカモられるぞ、いい店に連れて行ってやるからそこで休んでいけ、五千円ぽっきりだ、と、そんなことを言われた記憶がある。かわいい子いるーと尋ねたら、みんな可愛い奴らだ、と返された。ん?と思ったけど酒で気が大きくなっていたオレはオーケーオーケー行こうぜとそいつと肩を組んだ。アカツキと書かれた看板は捨てカンじゃなかったし五千円からタケノコってこともなかった。店の中で客を待ち構えていたのが野郎どもだったことにはたまげたが、システム自体は優良店だったと言っていい。問題はオレの財布の中身だ。座っちゃってから三千円しかないことに気づいて申告したらきれいな兄ちゃんたちはさっさと引っ込み、かわりに青っぽい顔色のでけー野郎が出てきてバカ丁寧な言葉でオレの持ち金を確かめ(カードもない?ちょいと飛び跳ねてもらえませんかね、ああ本当に小銭もないんですね、これは参りましたね…)、結局は持ち金全部取られて表に蹴り出された。外は雨が降っていて、ビルから張り出したちっぽけな屋根の下にはさっきのポン引きがいる。やけに早いがどうしたと訊かれたんで説明したらポン引きはフンと言ってコートを脱ぎ、それをオレと自分の頭にかぶせて、そいつのねぐらまでオレを連れて行った。それからいろいろあり、お前のアパートよりこっちのほうが会社に近いだろう、そーいやそーだな、ということでオレは今ポン引きと同居している。あのあと知ったことだがポン引きについていくなんて危険なマネはしない方がいいらしい。ケツの毛まで抜かれるぞとポン引き自身が言っていたから多分間違いない。