ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

幸せは恥ずかしい(ss)



いつもの戦略で相手を壊滅したあと、角都はきれぎれの死体の中から相棒の部品を拾い集めたが、運悪くトゲだらけの灌木に転げ込んでしまった飛段の頭部はずたずたに傷つき、両目もつぶれてしまっていた。角都は縫える部分は縫いつないだが、ひどく傷んでいる飛段の目については再生を待つことにして裂いた手拭いを瞼の上から巻いてやった。次の町までの道中、二人は手をつないで歩いた。ときおり人とすれ違うたびに角都は気恥ずかしく、おい目の痛みはどうだ、などとわざわざ聞こえよがしに尋ねたりするのだが、珍しく身を案じられて照れた飛段が、なんだよもー平気に決まってんだろー角都ぅ、などと嬉しそうに答えて手をつなぎ直したりするのでむしろ逆効果なのだ。通行人にチラチラ見られる角都は心中複雑である。恥ずかしい。けど幸せ。