ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

まわりはもっといたたまれない(ss)



食堂のテレビでドラマが流れている。昼のドラマのあけすけな性の描写に角都は眉をひそめる。モニターでは異様に弱いくのいちが寝首を掻こうとした大名に取り押さえられたところで、くいくいといいようにいじられてそのたびに声を上げている。焼きそばを前にした飛段はピーマンやキャベツや玉ねぎをせっせと角都の皿に移しており、今のところテレビには注意を向けていない。とっさに角都はテーブル越しに腕を伸ばすと両手で相棒の耳にふたをする。え、と顔を上げる飛段。角都はぐにぐにと相棒の耳をこね、ドラマの場面が変わってから手を放す。なんだよ。貴様の耳が冷えているようだったのでな。ハァ?と飛段はうろんな目で相棒を見るが、すぐにまたピーマン除去に集中する。角都もモツ煮に集中しようとするが、結局あと二度ほど飛段の耳をふさぐことになる。最後の濡れ場は長かったので、やりすごすために角都はちょっとした口づけまでする。ハァ??と飛段は混乱するが特に抗うことはない。野菜のない焼きそばはおいしいし、冷たかった耳も今は火照っているから。