ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

こわいよう(ss)



この町が一番の早道ルートなのはオレにもわかる。でもだからって、出る、と有名なスポットを、それも夜に通過しなくともよさそうなもんだ。まあ見た感じはふつーの町だし通りでは鼻をたらしたガキどもが遊んでいる。こんな時間にガキがうろちょろしているぐらいなんだから治安はいいんだろう。でも。びくびくするな、と角都はそっけない。バーカ怖くなんてねーよ、と返した声があたりに響いてオレはどきりとする。今の声で幽霊だかなんかにオレたちの存在がばれたんじゃなかろうか。そっとあたりをうかがっても別に変ったことはなく、ただガキどもがオレを指さしてケラケラ笑っている。むっとして失せろぶっ殺すぞと凄んでも平気な顔だ。テメーらいい加減にしねーとマジで屠るぞと鎌を振ると、やっとばらばら散っていく。そんなオレを角都が妙な目で見る。今、誰かいたか。さっきからうぜーガキどもがうじゃうじゃいたろうが、ケッ、いなくなってさっぱりしたぜ。角都はじっとオレの顔を見、自分の背後を振り向いて、またオレの顔を見た。探るような目で。そうしてふいにぶるりと体を揺すると身をひるがえしてもと来た道を戻り始めた。忘れものかよと呼びかけても応えない。なんかすげースピードだ。しかたなくオレも小走りに角都を追う。こんなところに一人で取り残されるのはごめんだ。あーやだやだ、こんなことならガキどもを追い払うんじゃなかった。