ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

リアルもいいけど虚構もね(ss)



いかがわしい映画ポスターの前で相棒が俺を呼び止める。なあ角都よ、なんか団地妻とか女教師とかってさ、ただの女っていうよりもやらしく聞こえねえ?なんでだろうなァ。ふん、陳腐な言葉に乗せられるとは貴様も安い野郎だ。オイオイてめーと違ってオレぁそーぞーりょくが豊かなんだよ。くだらん、と相棒を無視して俺は先へ進んだが、ふと頭の中で先ほどの言葉を組み替えてみた。団地飛段。教師飛段。…ほんの数秒で俺は二本立ての映画をイメージしてしまう。不仲の連れ合いの留守中にセールスマンを誘惑した団地飛段は、最中の写真をもとに強請られて身売りをし、そこで才覚をあらわして巨万の富を稼ぐ。一方、自分の指導力を過信した高校教師飛段は不良生徒をシメようとして返り討ちにあい、仕事を続けながらも覚えてしまった快楽に抗えず、ずぶずぶと生徒やその保護者、同僚や上司との関係に溺れていく。そして、どちらの飛段も最後には俺と出会う。結末に満足して隣を見れば現実の飛段が薄気味悪そうにこちらを見ていた。慌てて顔を引き締めるが、眉をひそめる飛段を見ればまた口元が緩んでくる。陳腐な妄想もなかなか悪くない。金がかからないのも好都合だ。どれ、今夜は教師でいくとするか。